『声と音』を響かせる機材について

ここ最近続けてきた「マスターしよう『うた技』シリーズは
年末ということでちょっと一息して、今日は別の話題を。
京都校の吉田です。

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1 ズバリ、マイマイクはいるのか?
2 ギターの出音は何で決まるのか?

ではまず、1についてです。
ボーカリストにとっては、ライブでベストな声を出せなければなりません。
そこでまず思案するのは、マイマイクを揃えて歌うのが良いのかということだと思います。

特にギターの弾き語りの場合、ギターに深みと広がりがあって、そこに声の芯がシッカリした
ふくよかなボーカルが乗っているのが望ましいのですが、ひとまず一定レベル以上
安定した声質とリズム・ピッチで歌えていることを大前提にお伝えします。

1のAnswer
Shure57・58を購入しマイマイクとして使うのは気分的な安心感のため。
人が使い回しているステージのマイクはなんとなく気乗りしないという
繊細な人なら、安いので一本持っておいても良いでしょう。
多くのライブハウスでデフォルトで使われているので、敢えて自分用に持たなくても
オペレーターはその箱に合う出音をシッカリ作ってくれます。

つまり、ライブでのボーカル専用のダイナミックマイクは単一指向性といって、
ステージで鳴っているギターやらベースやらの他の音をできる限り拾わないで
クリーンなモノラル音声としてストレートにミキサーに送るシンプルな性能上、それほど高価ではありません。
ブレス音やマイク周りの空間の空気感まで繊細に拾い上げるラージダイヤフラムのコンデンサーマイクを、
雑音のない密閉空間で使うのとは、真逆の使用環境なのです。

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以前知り合いのライブハウスオーナーが言っていましたが、最近コンデンサーマイクをライブに持ってきて、
「これ高価なマイクだから、良い音で出せるでしょ?」という人がマーマー多いそうです。

「やれと言われればやりますが、機能的な無理矢理感をレクチャーしている時間もないので困ったもんです。」
と苦笑されていましたが、原則知っていただきたいのは、
ステージで他のパートの音やオケが回り込んでくる可能性があるときに
多くがラージダイヤフラムであるコンデンサーマイクはまず使えないということと、
単一指向性のダイナミックマイクは、口からまっすぐの位置にマイクヘッドを置き、
よほどのデカ声でない限り、数センチ以内のポジションを保って歌唱しないと
良い声は拾ってはくれないということです。

特に弾き語りでマイクスタンドを使う時、
演奏時に鍵盤やギターをチョロチョロ見ながらの歌唱になるので、
それによってよく口からマイクが外れてしまっている、
またはマイクから遠すぎる人が多いので、実に勿体無いです。

よって、マイマイク用ダイナミックマイクは、音質構築にマストではなく、
気分的な安心感と高揚感のためであると結論づけます。
その分のお金は宅録レコーディング用のコンデンサーマイクにプラスし、
自分の声質にあったものを厳選購入した方が
はるかに音質的にはスーパークリエイティブ&実践的だと思います。

だから、まともなライブハウスでの歌唱は、
箱の特性を検証して導入されているボーカルマイクを使うのが、ベターであり、
その上でマイク位置のキープ法、絶対音量の最適化を心がけるのがベストだと言えます。

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2のAnswer
従来のアナログ音源としてではなくMIDIデータ化してあらゆるソフト音源を鳴らせる変革期が「今」である。

ギターという楽器はエレキもアコギもここ70〜80年同じ価値基準でした。
木の材質・部材の精密度・造りの緻密さ、
さらにはエレキ・エレアコなら電気系統の耐朽性などのスペックが問われ、
職人技によってハイスペックに造られたものはビンテージものとしてプレミアがつく流れでした。
そして、ギター一本が平気で50〜100万以上する市場になったわけです。

アコギなら生音、エレキならクリーントーンやナチュラルディストーションなどで音出しすれば
その楽器のクオリティーはある程度以上手に取るようにわかりました。
しかし、エレアコもエレキも1980年代以降はプリアンプやエフェクトペダル
さらにはマルチエフェクトをつないで、電気信号的に生音を強化したり、
生音とはおおよそ違う出音に変化させることが主流になりました。

最近のJ-POPのバックで鳴っているアコギの音源のほとんどが生弾きの音でなくギターソフト音源です。
だから良いとは思いませんが、簡単に言えば
ビンテージものとして有名な機材の音を生音で求めなくても、
今や同じ音がサンプリング音源として安価に手に入るのです。

例えば、ビンテージギターの50本と超人気ギターアンプ50種類のサンプル/モデリング音源を
自由に組み合わせられるソフト音源やギタープロセッサーなどは10万程度です。
各5種類くらいならば2万程度です。
実機を揃えれば各5種類・計10機材でも300万以上です。

わずか5〜6年前までは、楽器のサンプリング/モデリング音源は
「やっぱりアカンな〜、なんかしょぼい、ライブでは絶対使えんな〜」のノリでしたが、
今そしてこれからは事情は全く変わってきます。

一言で言えば、
ギターでグランドピアノの演奏もバイオリンソロもサックスソロもなんでも、
実機と同じ音でプレイできて、聞いてる人もそれがギターを奏でて出してるとは気付かない、という世界です。
わずかにでも「なんか変だぞ」とは思わない味わい深い音とプレイになるのです。

ちょっと前までいわゆるギターシンセと言われる機器は、
ピアノもストリングス、ブラス、シンセパッドの音らしきものが出せるけど
やっぱりオモチャみたいだ、とみんなが思っていたので、
高価な生楽器や鍵盤シンセがずっと売れ続け、使われ続けてきたわけです。

2008年設立のJam Originという会社が
「MIDI GUITAR 2」というとんでもないアプリを開発し2015年に発売しました。
そのアプリ経由でエレキでもエレアコでも弾けば、
アプリ内のすべてのプリセット音源とサードパーティー製のソフト音源までも、
単音ソロとしての弦楽器・管楽器すべて・和音としてのピアノ・オルガン・シンセパッド全てを、
ギターからのアナログ音声をMIDIデータ化するポリフォニック技術によって可能にしているのです。

日本ではBOSS(Roland)がGKシリーズという
ギターの1〜6弦をMIDI信号化する専用の外付けピックアップ=ディバイディドピックアップを
自分のギターのピックアップ辺りに取り付けさえすれば、
それを使ってほぼ上記のMIDI GUITAR 2と同じことができそうな機種を3種ほど発売していますが、
そんな専用ピックアップの取り付けなど不要で、
ギターから出したシールド直で、PCでもスマホでも専用アプリ経由でギターが
鍵盤・弦楽器・管楽器になるのがMIDI GUITAR 2なのです。

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今、私は【BOSS /GP10】と【MIDI GUITAR 2】の両方が
どれほど実用レベルにカスタマイズしやすいか、
またレイテンシーの減少やビブラートやアーミングなどのギター奏法が
バイオリンやサックスソロなどにどの程度応用させられるかを検証している最中です。

YouTube見ても国内でハイスペックな参考動画がないのに対して、
海外サイトではフォーラムが開催されるまでになっていて、
プロからハイアマチュアまでが情報交換している。
そして、完全にギターで素晴らしい弦楽器・管楽器のジャズのソロの早弾きを
かましているオッサンたちがいっぱいいる。

私は、様々なジャンルでよく言われる
「ガラパゴス化」し続ける日本の一端をここにも垣間見ながら、
半分程度しかわからない英語の関連動画と
記事を映像を頼りに理解しようと大和魂で解析しています。

2の結論ですが、
エレキ・エレアコの出音はもうハイスペックなデジタル音源の複合化と最適化で決まります。
木の材質、、、風合いとノスタルジーは最高ですが、良い音を求めるにはコスパ高すぎです。

簡単に言えば、
木の材質がいい8万程度のエレアコ買って、生音の風合いが良くても、
ビルトインされたプリアンプは8万クラスではまず良い音は作れないので、
ステージでPAからの良い音は期待できない。

その両方叶えようと思えば、エレアコでも最低25万以上はしますが、
それならばJAMMYのMIDIギターを3万で買って
完全デジタルでギターソフト音源からGibsonなどの良い音引っ張って来た方が、
ステージのPAから出る音は数倍良い音ですし、今それが海外では主流です。
生音どうのこうのの概念はなくなりつつあるのです。

日本よガラパゴス化するな!
できる限り日本製品使いたんだ!

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