こんにちは。VERY MERRY MUSIC SCHOOL(ベリーメリーミュージックスクール)名古屋校でチーフ兼講師を務めているaoi(アオイ)です。
「作詞って、自分にはまだ早い気がする」
「ボーカルのトレーニングとは別ものじゃないの?」
そんなふうに感じている人、実は少なくありません。
でも実は――作詞こそが、ボーカル表現を飛躍的に高めるカギなんです。
僕は普段、ボーカルや作曲、DTM、ギター弾き語りなど、音楽の総合レッスンを行っていますが、初心者・経験者問わず「作詞を通じて歌が変わった」という声は本当に多いです。
とはいえ、いざ作詞を始めてみると…
🎤何を書いたらいいか分からない
🎤言葉がありきたりになる
🎤メロディにうまくハマらない
など、壁にぶつかることもあるはず。
そこで今回は、作詞がうまくいかないときに見直したい考え方と、作詞を通じて得られるボーカル的なメリットを紹介します。
なぜ“作詞”がボーカルの表現力を高めるのか?
ボイトレの基本である発声や音程の安定は、あくまで“土台”です。
その上に“表現力”という要素が乗ってこそ、人の心に響く歌になるんですよね。
この「表現力」は、単なる技術ではなく――感情のニュアンスを、言葉・抑揚・間・語尾・ブレスなどでどう届けるかという、より複雑で感覚的な領域。
だからこそ、「感情に言葉を与えるトレーニング」である作詞は、表現力のトレーニングと非常に相性がいいんです。
実際、僕が教えているベリーメリーミュージックスクールさんの生徒さんの中にも、最初は“ボーカル志望”で入ったけれど、途中から「もっと伝えられる歌が歌いたい」と感じて作詞・作曲を始める人はとても多いです。
ただし――
そこで多くの人がつまずくのが「作詞」なんです。
💬書き出してみたけど、ありきたりな言葉ばかり
💬感情はあるのに、うまく言葉にできない
💬「うまく書こう」と思いすぎて何も出てこない
この壁、ものすごく共感できます。実際、プロでも悩むパートですし、そもそも学校で“歌詞の書き方”なんて教えてもらいませんよね。
でも安心してください。それは、「自分の表現に敏感になれてきた」からこそ起こる自然な現象です。
次からのセクションでは、この作詞が“うまくいかない”をどう捉えて、どう乗り越えていくかを深掘りしていきます。
テーマは出来るだけ小さめに
いきなりありがちなのが、「一曲にすべてを詰め込もうとする」パターン。
僕も生徒さんに何度も伝えてきたのですが、この傾向は“人生初のオリジナル曲”を作っている時ほど強く出やすいです。
「これが最初で最後かもしれない」と思うと、自分の人生、恋愛、夢、過去、未来、全部を詰め込みたくなりますよね。でもそれ、まるで「遺書」みたいになってしまうこともあるんです。
例えば、人生観を描く曲で「挫折→奮闘→成功」まで全部詰め込もうとすると、描写が薄くなりがち。ラブソングでも「出会い→幸せ→別れ→回想」まで盛り込むと、どうしても駆け足になってしまいます。
歌詞は基本的に30行前後の「超・短編小説」。
だからこそ、テーマはできるだけ小さく、ピンポイントに絞るのが大事。
👉「デート前夜のワクワク感」だけでも、30行しっかり書ける
👉「今日は素直になれなかった後悔」だけでも、1曲成り立つ
👉「すれ違ったままの想い」だけを切り取っても、ドラマになる
狭く深く掘ることで、より感情が鮮明になり、聴き手にも刺さる曲になります。
その結果、書きたい場面や想いがまだまだあることに気づいて、「次は待ち合わせ中の気持ちを歌おう」「次は仲直りしたい想いを書こう」と次の曲に繋がるモチベーションも自然と生まれるんです。
口語を意識する
「口語」とは、普段話している“話し言葉”のこと。
歌詞を書くときに、急に「愛してる」とか「君がいない世界は~」みたいな“歌詞っぽい言葉”を使おうとすると、気恥ずかしさや嘘っぽさが出てしまいがち。
たとえば、普段の生活で彼氏や彼女に「愛してるよ」って自然に言えますか?言える人もいるかもですが、たいていは照れくさかったり、言わなかったりしますよね。
だったら、歌詞にもそのままの自分の言葉を使った方が、感情のリアルさが伝わりやすい。
🎤「言えないけど、言いたいんだよ」
🎤「今日は頑張って言ってみた」
こうした等身大の言葉の方が、聴き手にとっても共感しやすいし、自分自身の本当の気持ちにも近づけると思います。
もちろん、曲の雰囲気によっては詩的な表現も必要になりますが、最初は“自分の言葉”で書いてみるのが大切。
そして「歌詞だから言えることがある」なら、それをそのまま言葉にしてしまえばいいんです。
👉 例:「歌なら『愛してる』って言えるんだよ」
そう書くことで、よりリアルで等身大のラブソングになるかもしれません。
「キミ」と「ボク」に頼りすぎない
これもよくある傾向です。
「キミが」「キミに」「キミを」と、つい毎行のように主語を入れてしまう。
でも、1曲の中に登場人物がたくさん出てくるわけではないので、一度「キミ」と「ボク」が登場すれば、聴き手はそれをベースに聴き進めてくれます。
たとえば──
💬 キミが好きだ
💬 今日も好きだ
💬 やっぱ好きだ
💬 アカン好きだ
すべて「キミが好きだ」でも伝わりますが、毎回「キミが」と言わずに描写や心情を変えることで、同じテーマでも印象がガラッと変わりますよね。
限られた行数・音数の中で、何度も主語を使うのはもったいない。
その分、気持ちや情景を表現する言葉にスペースを割いた方が、より豊かな歌詞になるはずです。
日記程度のノリで書いてみる
ここまで紹介してきたポイントを踏まえると、実は作詞って「日記を書くような心持ち」が近いのかもしれません。
✅ 昨日のことだけを書く
✅ 自分に語りかけるような言葉遣い
✅ 主語を何度も繰り返さない
✅ 自然な口調
一方で、「歌詞を書こう!」と身構えると、急に堅苦しくなったり、気持ちが遠ざかってしまう。だからこそ、まずは“日記程度のノリ”で書いてみることをおすすめします。
もちろん、最終的にはメロディとの兼ね合いや、楽曲の世界観に合わせた言葉の選び直しも必要です。
でもその前段階として、自分の素直な気持ちを、普段の言葉で書き出してみるだけでも、作詞はぐっと楽になるはずです。
まとめ
🎯 一曲にすべての想いを詰め込もうとしない
🎯 自分の“話し言葉”を意識する
🎯 限られた行数や音数を無駄にしない
🎯 日記のように、自然体で書き出してみる
どれもシンプルなことだけど、実際に取り入れるだけで、作詞がぐんとラクになります。
「作詞に詰まる」という経験は、裏を返せば“表現力が育ってきた証拠”。
だからこそ、焦らず丁寧に、自分の気持ちに向き合ってみてください。
ベリーメリーミュージックスクールでは、「作詞」専用のレッスンコースもご用意しています。
今回ご紹介したような入門的な内容から、人称や視点の使い分け、韻の踏み方、世界観の構築まで――プロの目線で丁寧にレッスンいたします。
興味がある方はぜひ、ベリーメリーミュージックスクールまでお問い合わせください!
この記事を書いた人

大学在学中、大阪を中心として音楽活動開始。YAMAHA MUSICQUESTをはじめ、数多くのコンテストに合格。大阪でのインディーズCDリリースやバンド活動を経て2002年ACE OF HEARTS よりソロシンガーソングライターaoiとしてデビュー。