ベリーメリー京都校で「作詞・作曲コース」を受講している中学生のピアノボーカリスト田中文さんのレッスン風景と制作秘話です。
個人活動としての作曲と同級生とのバンド活動を両立させていて、将来は絶対に音楽を職業にしたいという気合いの入った中学3年生です。
若くて荒削りでも、ピュアな飛沫が拡散する優れた曲を生む可能性が高いので、中高生の皆さんはぜひ参考にしてみてください。
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田中文さんのレッスン内容
中学2年の時、作詞作曲コースで入会した田中文さんは、ピアノやアコギで作曲したストック約20曲をブラッシュアップする手ほどきを受けたいということで「作詞作曲月4回コース」でスタートしました。
≫ 作詞・作曲・DTMコース
小学生時代から習っているピアノは現在かなりの腕前になっていて、ポップスのピアノアレンジ技術も優秀です。
作曲では、その得意なピアノを使うのとアコースティックギターを使う2つのバリエーションで作りためてきた彼女ですが、いくつか拝聴したところ、ピアノ演奏の安定感に比べて、歌唱面に課題点が見つかってきました。
でも、彼女なりの作曲の世界観があり、歌詞やメロディーに押し出しの強さがあり、シンプルで真っ直ぐな感性に溢れていました。
そこで、彼女の持つ“表現力の芯”をより際立たせるために、まずは基礎的な部分をしっかり整えるレッスンを組み立てていくことにしました。
声質はとても良いのですが、ピッチ=音程が少し甘い癖があったので、当面はそこを徹底的に鍛えることに。
ピアノトラックと主旋律をそれぞれ録音し、補正ソフトには頼らず、自分の耳と感覚でピッチを合わせていく練習を重ねました。
また、ハモリラインを自分で考えることにも挑戦。ハモリが決まると曲全体の印象がぐっと変わるので、音感や和音感を養うのにとても良い練習になります。
レッスンでは「まず自分で考えてみる → 聞かせて修正 → もう一度歌って確かめる」というサイクルを繰り返しながら、正確なピッチと響きのバランスを整えていきました。
さらに、メロディーがより浮き上がって聴こえるように、コードの組み方や分数コードの活用にも取り組みました。ハモリラインの作り方やアレンジの工夫を通して、彼女自身の作曲力にも少しずつ変化が生まれていったように思います。
1段階:ピッチ感を養う歌唱訓練の反復
まずは、自分の声45%、バックの和音55%の割合で聞いてピッチ感を養う歌唱訓練の反復を行います。
歌詞カードにピッチアウトした箇所をチェックしまくって、それが下の「ド」から上の「ド」の地声発声の中で、どの音で外れる確率が高いか明らかにしていきます。
ワンフレーズごとの正確なピッチでの歌唱の積み上げの結果が、1曲全体の正確な歌唱のコンプリートなので、ワンフレーズごとのピッチチェックの精度を保つ集中力を養うのです。
その結果、かなり正確なピッチで歌えるようになりました。
2段階:ハモリラインの試行錯誤
ハモリラインは、正直なところ彼女はかなり苦戦していました。
自分で考えてきたハモリラインの半分は私からダメ出しされて、また考えてきて手直しされてというのを2〜3回のレッスンで繰り返してできたハモラインを重ねたテイクがこれです。
このようにできたハモリラインを主旋律と同時に歌って、つられることなく綺麗なハーモニーにするレッスンも数回徹底して繰り返しました。
というのは、この曲はバンドで学園祭披露することが決まっていて、彼女はピアノ&コーラスが担当だからです。
3段階:バンドスコア制作着手
「先生、バンド演奏用にドラムとベースとギターのアレンジを考えてもらえませんか」
という要望を受けて、シンセ担当がいない中学生バンドがちょっと頑張ればできるシンプルで響きの良いアレンジを作って、メンバーと共有し演奏に繋げてもらいました。
こんな感じのグルーヴ感と音がバンドで出せるように、ギターやベースのエフェクトペダル使用法とアンプチューニングのアドバイスもしました。
田中文さん本人には、勉強も兼ねて、専用ソフトを入手してギターとベースのタブ譜制作は自ら行ってもらいました。
4段階:各パートの完成とフルアレンジ制作
バンドで完璧に再現できるアレンジとして、フルアレンジを私が作成し、それをもとにバンドメンバーの方々には演奏力の強化を図ってもらい、田中文さんには、苦手意識のあったハモリラインをピアノを弾きながら完璧にこなせるよう練習してもらいました。
しかし、リハスタでのバンド練習ではやはりメインボーカルにつられてしまって不安定になるとのことだったので、レコーディングデータからピアノとハモリパートを抜いたものをレッスンでかけながら、あえて主旋律につられやすい環境を作ってピアノ&ハモのスキル向上にひたすら取り組んでもらいました。
彼女の努力の甲斐あって、フルアレンジは彼女の個性が前面に出たシンプルで明るく情緒的な出来映えになったと思います。
学園祭本番も自信を持ってプレイしてくれることでしょう。
曲名:約束
作詞・作曲:田中文
フルバージョン制作期間:2ヶ月(作詞作曲コース月4回を2ヶ月)
田中文さんのコメント
レッスンで徹底的にピッチ感の矯正訓練をしてもらって、主旋律も苦手なハモリラインもかなり上手くなって、自分でも自信が持てるようになってきました。
アレンジでは、ピアノと主旋律にまずドラムを足して行くところからやってもらいましたが、できていくドラムだけ聴いていると「ちょっとおとなしくて地味かなと思いましたが、その後にベースやギターが乗ってくると、そのドラムでちょうど良かったんだ、と実感しました。
アレンジってこうやって重なっていってサウンドが濃くなるんだとわかりました。
自分の曲や歌で周りのみんなを応援できるように曲を作り続けていますが、将来はもっともっとメッセージ性のある曲を、どこかの誰かに確実に届くように、たくさん、カラフルに作っていきたいです。
大人になったら、絶対に音楽関係の仕事をしていきたいです。
今回は、私の曲を取り上げていただいてありがとうございました。

この記事を書いた人

ベリーメリーミュージックスクール京都校のチーフです。