ボイトレを始めるときに、最初に習うことといえば――「歌う時の姿勢を正しくしましょう」と指導されることをイメージする人が多いのではないでしょうか。実際、そこからレッスンをスタートするトレーナーも多いと思います。
よく言われるのが、「背筋を伸ばして」「アゴは軽く引いて」「足は肩幅に開いて」「頭を天井から吊られているように」などなど。確かにどれも正しいことです。
ですが、それを一曲まるまる守り続けることができるでしょうか?…きっと、かなり疲れてしまいますよね。
ましてやライブであれば、ほとんど動きのない歌唱になってしまい、観ている側も少し退屈に感じるかもしれません。カラオケで友達がそんな風に歌っていたら、ちょっと堅苦しく見えてしまうでしょう。
今回は、「歌うときの姿勢で大事にしたいこと」をテーマにお話します。
大切なポイントを「3つ」押さえつつ↓↓↓
- 上半身を立てる
- 腹圧を意識する
- 足の位置を整える
自由に動ける姿勢づくりを意識して、より表現豊かにパフォーマンスを楽しんでいきましょう。
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POINT1:上半身を立てる
良い発声をするには、まず「良い吸気(ブレス)」ができていることが大前提です。
猫背のようにアバラ骨が下がった姿勢になると、お腹が前に出しづらくなります。すると、内臓が前に動けず、横隔膜も下がりにくくなる。結果として、肺の体積が広がらず、吸える空気の量が減ってしまうという流れです。だからこそ、「背筋を伸ばして」という指導につながるわけですね。
ただし、これは“常に”ではなく、“ブレスをするときだけ”意識すれば十分だと私は思います。
ブレスのたびに、アバラ骨を「ガレージのシャッター」とイメージして、スッと持ち上げてみてください。シャッターが上がると、内臓という名の“車”が外に出るような感覚です。
たとえばロックシンガーのように片足を上げて前かがみになっても、ブレスの瞬間に上半身を起こせば吸気量は確保できます。
この意識さえあれば、動きのあるパフォーマンスでも良い発声をキープできるはずです。
POINT2:腹圧を意識する
先ほどは「吸気」についてお話ししましたが、今度は「呼気」、つまり発声時の意識についてです。
どんなに正しい姿勢を保っていても、“腹圧”を使えていなければ意味がありません。逆に言えば、どんな姿勢でも腹圧さえ掛けられていれば、強く安定した発声を生み出すことができます。
実際、猫背でも寝転んだ状態でも腹圧は掛けられます。
腹圧がよく分からないという方は、背筋運動をしたときのお腹の動きを観察してみましょう。背筋を起こす瞬間、お腹が前に出っ張り、腹筋が固くなりますよね。これが腹圧です。
もう一つの確認方法として、椅子に浅く腰掛け、背中を少し倒してみてください。お腹が前に出て、腹筋が固くなるのが分かると思います。その状態でお腹の力を抜くと、後ろに倒れてしまいますよね。
このように腹圧の感覚をつかんだら、今度は“腹圧が掛けにくい姿勢”を自分の中で見つけておきましょう。歌唱中はその姿勢だけ避ければ、無理なく良い発声を保てるようになります。
POINT3:足の位置を整える
足の位置は「肩幅に開く」が基本とよく言われます。これは、足を揃えて棒立ちになると体幹が不安定になりやすいためです。
体幹が崩れると、アバラ骨を持ち上げたり、腹圧を掛けたりする動きがしづらくなります。つまり、身体全体に力が伝わりにくい状態になってしまうんです。
電車の中で揺れに対応するとき、自然と足を開いてバランスを取りますよね。その“幅”は人それぞれ違うはず。
要は、自分にとって一番力を入れやすく、バランスを取りやすい足幅であれば問題ありません。こちらも、「アバラ骨を持ち上げづらい」「腹圧を掛けにくい」と感じる足の位置を避けるだけでOKです。
まとめ
歌唱において、姿勢が大事なのは間違いありません。ただし、「一般的に正しい姿勢=良い発声」ではないという点も忘れないでください。
大切なのは、“必要なときに必要な筋肉を使える姿勢”を身につけること。そうすることで、無駄な力を抜き、抑揚やパフォーマンスにエネルギーを注ぐことができます。
ベリーメリーミュージックスクールでは、発声指導だけでなく、動きやステージングも含めて一緒に考えながら曲の完成を目指します。動きを通して曲を表現しつつ、その中で「使える姿勢」「使えない姿勢」を一緒に見つけていきましょう。
興味を持たれた方は、ぜひ一度ベリーメリーミュージックスクールのレッスンを体験してみてください!
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この記事を書いた人

大学在学中、大阪を中心として音楽活動開始。YAMAHA MUSICQUESTをはじめ、数多くのコンテストに合格。大阪でのインディーズCDリリースやバンド活動を経て2002年ACE OF HEARTS よりソロシンガーソングライターaoiとしてデビュー。