今回のベリメリちゃんボイトレ講座は、ボイストレーニングにおいて知識としても欠かすことが出来ない「声帯の仕組み」を前提とした「音程コントロール」とその効果的な「トレーニング方法」についてです。
はじめに
発声の基本パーツである「声帯」は、伸び縮みする筋肉で、その筋肉は声帯の周りの筋肉と繋がっています。
さらに、その筋肉は身体全体の筋肉と間接的に繋がっています。
今回は「発声」における音程コントロールについての解説です。
更に深い音程コントロールについての説明は、また改めてご説明いたします。
先ずは、楽器としての声帯の音程コントロールの基本を知って頂けたら幸いです。
目に見えない部分のコントロールは、イメージして動かして「成功体験を実感に変えていく」作業の積み重ねでしかありません。
イメージする力を膨らますことは、音楽性を豊かにするために重要です。
脳みそに、身体に刻んで行きたいですね。
音程コントロールの仕組みについて
皆さんは声帯の写真や図を見かけたことはありますか↓↓↓
僕が声帯の説明をする時に「唇を縦にした感じのもの」だと話しています。
上(奥)と下(手前)の結び目が、唇では口角ですね。
上(奥)の結び目を斜め後ろ上方向に引っ張っていく事で、声帯は薄く引き伸ばされて高音域を出す方向に形を変えていきます。
逆に、その結び目を緩めていくことで音程が下がっていくイメージです。
輪ゴムを両手で摘んで引っ張ったり緩めたりしながらゴムをプンプン弾く感じをイメージするとと分かりやすいと思います。
声帯をに見立てる意味としては、「口笛」が「ファルセット(裏声)」の発声時に似ているというのもあります。
口笛は上唇と下唇を当てずに開いて、その間を隙間風のように通すことで生まれる音です。
声で言うところの「裏声」は、左右の声帯が当たらないようなポジションを作って息が通過する通り道を抜けていく音になります。
地声は、左右の声帯が当たって振動を生むことで成り立ちます。
口角を横に引っ張って上唇と下唇が当たった状態で強く息を流すと接地面から振動音が生まれます。
これに似た状態が声帯でも起こります。
口角を左右に離せば離すほど振動音の音程は上がります。
声帯の緊張と息のスピードのと関係
上記のように口角を引っ張ってテンションを高めると上唇と下唇との隙間はどんどん狭くなります。
息のスピードが低いと、なかなかに隙間を抜けさせることが難しくなっていきます。
腹圧を上げて息のスピードを上げることで隙間をこじ開けるように振動を生むことが出来るので、高音域になればなるほど「息のスピード」が必要になります。
逆に、緩んだ声帯はゆっくりとした息を送らないと上手に振動してくれません。
低音域を安定して鳴らすためには「安定した低速の息」を送る必要も出てきます。
音程コントロールと練習方法
この様に声帯を伸ばしたり緩めたりすることを考えると、声帯コントロールによって正確な音程を生み出すことが難しいと思ってしまいます。
ですが、様々な歌唱トレーニングや耳を鍛えることで、どんどん正確な音程コントロールが出来るようになってきます。
人間の能力は本当に凄いです。
輪状甲状筋など声帯付近の様々な筋肉を巧みにコントロールして、ほとんどの方が出したい音程を瞬時に出せるようになるのは間違いありません。
伸び縮みで音程コントロールをするので、ピアノの様に区切られた正確な音以外の曖昧な音も鳴らすことができます。
下の方から音程を上げる「シャクリ」、語尾で自然に音程を下げる「フォール」、などなど様々なテクニックに応用されています。
「ブルーノート」というブルースで多用される音もそのひとつです↓↓↓
有名なところでは、絢香さんの「三日月」の「もう、泣かないよ」の部分にはブルーノートが使われています↓↓↓
例えば効果的なトレーニング方法として、この曲の「忠実な再現」を試みてはいかがでしょうか。
おわりに
この様に声帯のポジションを可変させることで、地声裏声に関係なく音程を上げ下げする事ができるわけです。
ヘッドボイスなどなどもっと深い声帯のポジションコントロールもありますが、今回は一般的な認識としての声帯の音程コントロールについて書いてみました。
スクールのレッスンではこよコントロールがしっかり体感できるように様々な音程トレーニングを実践しています。
参考になれば幸いです。
是非、ご自身のイメージ通りの音程が出せるようにしてくださいね!