ボーカルの上達の早い遅いには個人差があります。上達が遅い人からよく聞く言葉や習慣を挙げてみたいと思います。思い当たる項目がある人も気持ち一つで変わること、挑戦できることを中心に挙げてみましたので是非参考にしてみてください。
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はじめに
梅や桜の存在を感じる良い季節になってきましたね。
名古屋テレビ塔のすぐ横にありますベリーメリーミュージックスクール名古屋校でも、久屋大通公園の桜がレッスン後ビルを出る時に目に飛び込んで来るようになりました。
僕がボイストレーナーを始めたのもこのくらいの時期だったと思います。
もう十余年、沢山の生徒さんと出会わせて頂き音楽にまみれていられる事を幸せに思います。
また新たな春新たな歌声と出会えることが楽しみな今年です。
そんな長年の中で皆さんの”技術を磨く為の技術”を日々試行錯誤してきましたが、同時に当然の事ながら同じ技術でも上達の早い遅いに個人差がある事も感じ続けてきました。
声帯の違い、腹圧の違い、音域の違い、声量の違い….。
細かなことを言い出せば差が無い人など居ないと思います。
今回はそういう細かな箇所ではありませんが、意識的に上達が遅いと言いますか「上達の為には損をされているな〜〜と感じる生徒さんのあるある」を3つ挙げてみたいと思います。
あくまでも歌唱力のポテンシャルの問題では無く、その意識を変えてもらえたらもっと自身の弱点と向き合えて結果近道となるのに〜と僕が感じてしまうあるあるです。
1.原曲キーにこだわりが強い
高音域での迫力のある声は確かに歌唱での花形なイメージありますし、プロのプロたる代表のようなものですよね。
だから真似たいのも、その声が出なかった時に差を感じて凹む気持ちも凄くわかります。
でもでも、その真似したいアーティストさんも元からその音域やキーで歌えていたのでしょうか?
中には生まれつきの人もいるとは思いますが、きっと多くの方が1段階ずつ高域拡張とキー設定を変えていったのだと思います。
「原キーでどうしても!」という方は、3段4段をすっ飛ばそうとしているかも知れません。
僕自身とても出そうにない高音が含まれた曲を毎晩根性論で取り組んだことがあります。
日数を掛ければ少しずつ対応出来る様になるのではないかと….。
結果は勿論ダメでした。
今ならわかりますが声帯がその音を出せる準備も出来てないですし、声帯以外のフォームや息の加減も無茶苦茶になってしまっていたのだと思います。
歌いたい曲の原キーの何個下で現状歌えるのかが、今日のあなたにはよっぽど大事なことです。
−3のキーなら−2のキーで出てくる最高音は何で、その音に慣れる発声練習を着実に積み上げるべきです。
−3キーから−2キーに上げたとき、最高音が全く裏返ってしまうなら声帯の伸縮慣れや、閉鎖筋肉の強化を的に練習します。
出はするが頼りない発声だったり暫くすると裏返るだったりする場合は、腹圧や息の残量や留め方を工夫する練習と内容は変わってきます。
勿論同じ音程でも単発で発声するのと、何音かの中でのその音を綺麗に発声するのにはまたハードルが上がります。
このような微妙な調整を繰り返してやっと1つ上のキーに慣れていくものです。
そんな事を繰り返しているうちに今の時期自分は「ド」に挑戦しているんだとか「ド#」に挑戦しているんだとか自身の音域把握にも確証が持てます。
どうしても原キーが良いんだ!と仰る方には自身の最高音を分かってない人が多いですし、その曲そのキーの最高音が何か分からずに仰っている人も多いです。
わかっていないからこそ、頑張ってたら出せるようになるだろうと….。
実際目標の音が出せる喉は持っていて、フォームと考え方をお教えすると出せるようになる方もいらっしゃいますがそれも許容範囲だからこそやれた事だと思います。
まずは許容範囲を知り少しずつ広げることと、現時点での許容外を判断出来ることが成長への近道と知って頂きたいです。
2.レコーディングが好きじゃない
「レコーディングをしてみませんか?」
「絶対!イヤです!!!」
これもよくあるやり取りです。
自分の声を聴くのが恥ずかしい。
思っているよりも下手だったらショックを受ける。
記録として残るのが嫌だ。
色々なご意見があるようです。
でも僕はプロがさらに上達を重ねていくのは、このレコーディングが大きな理由だと思っています。
たった1フレーズ、はたまた1音を何十回何百回と録っては確認、そして歌い直すを繰り返すんです。
そりゃ上手くなりますし経験値は溜りまくります。
多分ピッチは合っているだろう…多分表現は出来ているだろう….多分良い声だろう….。
多分の世界の中で練習を繰り返していませんでしょうか?
折角の録音が手軽な時代です、聴いて確認すれば良いのです。
耳も鍛えられますしね。
そしてレコーディングをお勧めしたい何よりの理由があります!
偶然に出会って欲しいと言うことです。
偶然カッコいい声で録れた、とか偶然に凄い悲しそうな表現で録れたとか良くあるんです。
偶然でも自身から出たものです。
狙って出せるようになるかどうかなだけでゴールが先にある感じですね。
習得の意欲もテンション高くいけますし、その為のフォームや力加減がどうだったか無茶苦茶考え辿ります。
ぶつ切りのつなぎ合わせまくりの録音で結構です。
これ自分か?って思える様な「自分最高点」のテイクを録音してみて欲しいです。
その録音の中で得たコツはリアルタイムで歌う時にも必ず知識として発揮されます。
伸び悩んでいる人、長年ボイトレに通って目指すところがわからなくなっている人は是非レコーディングを!
3.自分の声質が嫌い
「自分の声が嫌いなんです」
こう仰る人もちらほらです。
ちらほらですが今回の3例の中でこの理由の人が一番上達が遅い気がしています。
嫌いなんですから好きと思えなんて無理強いは出来ません…。
でもそう言っていてもしょうがないですよね。
嫌いで留めず、じゃあ探しましょうよって話です。
もっと言いますと本当に声質が嫌いなんですか?とも思います。
下手に感じる歌唱力が嫌いな可能性はないでしょうか?
安定した発声を身につけ抑揚も身につけた上でこの声質じゃなければもっと良いのに!って言っている人を見たことが無いです笑!
逆にあなたがあなたの声をすごく気に入っていても、聴いた人が良く思っていなかったらそちらの方が辛いです。
そんな感じのアーティス、トライブハウスやイベントでよ〜〜〜〜く見かけます笑笑。
生まれ持った声質を生かし引き立たせる技術やキャラクターは必ずあります!
そしてそれが好きかどうかは歌い手じゃなく聴き手が決めてくれます。
探しにくい時こそ僕ら講師が探し出します!!
急に説教じみた精神論な項目になってしまいましたが、講師生活の中で一番上達に邪魔で勿体無いと感じてきた意見ですので書いておきますね。
最後に
書き終えてみますと偉そうに書く程でもない本当に入り口の心構え的な事が多くなってしまいましたが、それで損しているなと感じる生徒さんがいらっしゃる事も事実です。
特にレコーディングでの確認は他の項目への確認と慣れも与えてくれると思います。
ベリーメリーミュージックスクールには丁度春にレコーディング検定というイベントも行われますしこの機会に一歩踏み出してみては如何でしょうか?
最後に、逆に「この生徒さんがここまで上達するようになるとは!!!」と感じた生徒さんのお話です。
自分の思い出として、そして自己満足でアルバムCDを制作したいと目標にされ完成の頃には目を見張る上達ぶりでした。
コピー曲オンリーですしカラオケも普通のカラオケ音源、流通も勿論しませんがヴォーカルとしての録音の積み重ねはプロと変わらない労力を重ねたと思います。
思い通りに歌えずボツになった録音時間もしばしば。
でも今何が出来なくて先へ進めないかはいつも明確だったように思います。
ボーカルスクールではありますがこのような練習を兼ねたアルバム制作なんかもドンと来いですので興味の湧いた方は是非!!
この記事を書いた人
大学在学中、大阪を中心として音楽活動開始。YAMAHA MUSICQUESTをはじめ、数多くのコンテストに合格。大阪でのインディーズCDリリースやバンド活動を経て2002年ACE OF HEARTS よりソロシンガーソングライターaoiとしてデビュー。