
「歌声の個性」とは、いったい何でしょうか。
生まれ持った声質や身体的な特徴だけでなく、これまでの経験や感情、歌ってきた音楽、身についた歌い方の癖など、さまざまな要因が重なり合うことで、その人ならではの歌声が生まれます。
ボイストレーニングでは、正しい発声や歌唱技術を身につけることも大切ですが、自分自身が持っている個性を理解し、それを表現に活かしていくことも重要です。
今回は、個性とは何かという基本的な考え方から、声の先天性と後天性、そして自分らしい歌声を活かすためのレッスンについて、ボイストレーニングの観点からお話しします。
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歌声の個性とは?

「歌声の個性とは何か」を言葉で表現するのは、本当に難しいことです。
体型や身体の癖によるものもあれば、遺伝的な要因や「生き様(経験)」から生まれるものまであります。
例えば、臆病な性格をしていたり、過去にトラブルがあって気持ちが小さくなってしまっていたりすると、声がか細く、頼りないものになる可能性があります。逆に、成功体験を繰り返している人は、しっかりとお腹から圧のある声が出るかもしれません。
さまざまな要因があるため、その個性がどのように形成されたのかは一概には言えません。しかし、少なくとも言えることは、「一人として、まったく同じ個性を持っている人はいない」ということだと思います。
もちろん、歌い方が似ていることはあり得ます。どんなアーティストと関わってきたのか、どんな歌手が好きだったのかによって、個性の傾向はある程度分類できるのかもしれません。
いわゆる「〇〇系」といった発想です。
今回は、個性をどのように解釈し、その個性をどう活かしていくのかについて、ボイストレーニングの観点からお話ししたいと思います。
個性の先天性と後天性

声の印象や持ち味は、人によってさまざまです↓↓↓
- 声がしゃがれている(ハスキー)
- 甲高い声をしている
- 声がキンキンする
- 柔らかく、息が混ざっている
…など、さまざまな特徴があります。
遺伝的な要因としては、主に声の硬質的な特徴が共通することがあります。子どもの声が成長するにつれてお父さんやお母さんの声に似てくることで、電話に出た子どもが親と間違えられることも増えてきたりします。
ただし、まったく同じ声になるわけではありません。「似たような別の楽器」という解釈がよいと思います。
「声質」に「歌い癖」が折り重なることで、その人だけの個性が生まれてくると考えると、次のような特徴も個性の一部だと言えます↓↓↓
- 巻き舌気味である
- 喉を締めたような響きがある
- 語尾で喉が締まる
- ビブラートが強い
- アタックが強い歌い方をする
このように、人生における「さまざまな出会い」の影響が、声に現れることもあります。
そして、その個性は自分にとって当たり前のものなので、自分自身で認識するというよりも、他者に声を聴いてもらうことで初めて気づくことが多いものです。
求められる声であるかどうかや、歌が上手いかどうかとは別の話ですが、「しっかりとした発声ができていて、聴いていて心地よい声」も個性だと思います。一方で、歌を習ったことがなく、「我流で身につけた癖の強いニュアンスを持った声」も、個性だと思います。
ボイストレーニングをすることで、お手本のような正しい発声になりすぎて、個性が消えてしまうようなことがあってはいけません。ボイストレーナーが一人ひとりの声をしっかりと判断し、必要以上に癖を取りすぎないように心がける必要があると思います。
遺伝という名の先天的な声に、後天的に身についた癖が上手にブレンドされた声。それは千差万別で、唯一無二の自分だけの響きなのだと思います。
個性を活かすレッスンについて

皆さんは、一般的な「女性アイドル歌い」をご存じでしょうか。
アイドルといってもさまざまですが、僕の解釈では、大まかに言うと「息を漏らし、鼻腔を主に共鳴させて、鼻を響かせながら歌う」というものです。
この歌い方は、とても可愛らしい声になり、愛くるしさを演出してくれます。
例えば、この歌い方をする人が、もう少し声門を閉じて地声の成分を増やしていくと、「強く芯があるけれど、柔らかい声」を作ることができます。
息漏れのバランスを調整することで、さまざまな表現が可能になります。
また、個性は感情と切っても切れない関係にあります。
内気だったり、優しかったりする感情表現には「息の混じり」がとても効果的です。一方で、アグレッシブだったり、攻撃的だったりする表現には、「芯のある強い声」が有効です。
声帯のポジションをコントロールする技術を身につけると、その瞬間に思い浮かんだ感情を、リアルタイムで声に乗せて表現できるようになってきます。
そこで発揮されるのが、長年の人生で身についてきた「個性」的なフレージングや声質なのだと思います。
レッスンでは..
「君には〇〇な個性がありますね」
「この表現は君らしいよ」
…といった言葉を伝えることで、自分の個性を理解しながら歌えるようになってきます。
人によっては、その個性がさらに強まり、より分かりやすい形になってくることも多くあります。
プロの現場でも、プロデューサーと呼ばれる方々が、レコーディングやライブの際に、あえてその個性を大げさに演出するよう提案することがあります。
個性を理解し、それを意識的にコントロールできるようになることで、自分らしい表現の幅を広げていくことができるのです。
まとめ
個性があるからといって、必ずしも良い歌や良い音楽になるというわけではありません。
ただ、自分の個性を知ることで、自分らしい歌にできるのは間違いないことです。そして、自分自身をよく理解している人の歌は、言葉にリアリティーや説得力が生まれ、聴く人の心に響く可能性が高いというのも、真実だと思います。
自分の癖、つまり個性をコントロールし、遠慮することなく、表現したいイメージで歌うこと。
その先に、自分だけの魅力が詰まった、心に残る忘れられない歌声が生まれるのだと思います。
皆さんにも、ぜひ自分自身の個性を理解し、それを活かした歌を目指していただけたら幸いです。
八王子校・横浜校チーフ
本田 ‘POM’ 孝信
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